表3-3-1では,ベース−エミッタに対して順バイアス,0[V],逆バイアス印可でのトランジスタのエネルギー構造を示しています.VBE順バイアスでは,ダイオードにおける順バイアス印可と同様にバイアスによって障壁を埋め伝導帯の電子および価電子帯のホールの移動が可能になります.
VBE=0[V]では,伝導帯の電子および価電子帯のホールは,わずかな障壁ではありますが越えて移動することはほとんどありません.
つづいて,逆バイアスではダイオードにおける逆バイアス印可と同様にVBE=0[V]における障壁よりもさらに大きくなりますのでVBE=0[V]におけるキャリアの移動量よりもはるかに小さくほとんど通電しません.
ここでVBE順バイアス時,エネルギー構造のキャリアの分布に着目すると伝導帯では,コレクタからエミッタまでキャリアとなる電子が分布し外部から電界が与えられれば(VCEに相当)キャリアの移動(通電)が可能となる状態になっていることがイメージ的に捉えることができると思います.
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