両者はいずれも位置エネルギーを示す尺度で,基準が電子かあるいは単位電荷かという点が異なります.そのためお互いの関係は比例換算が可能で,比例係数を電子の電荷量(-1.6 ×
10-19[C])として容易に求めることができます.比例係数は負であることから物質の電位が大きくなるとエネルギー準位が小さくなり,電位が小さくなるとエネルギー準位が大きくなる特徴があります.
以上のエネルギー準位と電位の関係を踏まえると,外部から各半導体に電位が与えられると半導体内のキャリアのエネルギー準位(フェルミ準位)が電位に応じて変動し,それらキャリアのエネルギー準位の平均を示すフェルミ準位も電位に応じて変動します.つまり図3-2-6 のデバイス端のフェルミ準位高低差は与えられる電位差そのもので,Vbias がエネルギー準位に換算されたものと考えていいと思います.
外部からの順方向バイアスによってフェルミ準位に高低差が与えられると図3-2-6 のようにフェルミ準位に吊られてN型半導体のエネルギー準位が高くなりP型半導体のエネルギー準位が低くくなります.バイアスの与えられていない状態では,障壁が高く存在したためN型半導体の自由電子はP型側へ移動できませんでした.しかし,障壁電位以上の順方向バイアスを与えることによってN型の自由電子はP型への障壁は低く常温の熱励起などによって容易に移動することが可能になります.また,ホールについても同様でP型のホールはバイアスが与えられていないときは障壁があるため移動できませんでしたが,順方向バイアスによって同様の原理でN型へ移動することが可能になります.
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