ゲート充電の過程では,SW1のスイッチングによってゲート電流に制限を与えつつゲートに電荷を充電していきます.この時のスイッチングの周波数は3.3MHz,オン・デューティは50%に設定しています.設定のポイントとしては,IGBTゲート容量の最も小さくなる条件,すなわちミラー容量の影響を最小にできるコレクタ・エミッタ間電圧0V(Vp−Vn=0V:固定)において,SW1の一回のスイッチング(オン〜オフの過程)で電源B1の電圧15Vに対してオーバーシュートしないオン時間であって,なるべくスイッチング周波数の小さい設定としています.
さらにつづく,SW1の第二,第三のスイッチングでリップルによるオーバーシュートが許容できる範囲であることを確認しています.本シミュレーションでは5回のSW1スイッチング設定でゲート電流がおよそ収束してきていますので,6回目のスイッチングでSW1ベタ・オンの状態に遷移しゲートへの充電が完了します.
つづいてゲート電荷放電の過程では,SW2のスイッチングによってゲート電流に制限を与えつつゲート電荷を放電していきます.この時のスイッチングの周波数,デューティ等の設定は,充電時と同様にしています.充電時と放電時では,実際としては設定を特化して別々に設定した方が良いと思いますが,図a-1制御部の簡素化も視野にいれてのシミュレーションです.ここでVp−Vn=0Vの条件(図a-9の□)においてゲート電圧が若干マイナス方向に振れていますが,一般にIGBTのマイナス・オーバーシュートは問題ありません.反対にマイナス方向へのゲート充電によって高電力側IGBTのオフ時間を短縮するなど工夫の余地もあるかもしれません.
|