電子回路に組み込まれたダイオードの損失測定について考えます.ダイオードの損失電力は,ダイオードに流れる電流とダイオード端に印可される電圧の積から求めることができます.
損失電力の測定の場合,VFとIFとをそれぞれ計測して単純に積を求めればいいのですが,測定が難しい場合もあります.たとえば,VFの大きさに対し比較的大きな電圧を整流する場合,オシロなど測定器のレンジの都合によってはVFを精度よく測定できません.(順方向バイアスは大きくても数ボルトですが,逆バイアスは特に際限はないので数百,数千ボルトのレンジを必要とする場合もあります).
そのような場合に,実測のIFから式3-2-5を使ってVFを間接的に算出して損失電力を求める方法があります.その場合あらかじめ,被測定ダイオードのI-V
特性を予備測定し,式3-2-5の各パラメータを求めておく必要があります.
その上で,IFの時系列の離散データを取得し,VFおよび損失電力を算出していきます.式3-2-5についてIF
を引数とした VFの関数に変形しておきます.
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