よってP型およびN型の半導体が接合した時,キャリアの移動すなわち電流はP型半導体からN型半導体へ流れたことになります.この電流を拡散電流といいます.
図3-2-2 はP型半導体とN型半導体と接合面における空乏層のエネルギー構造を示しています.空乏層ではドナーバンドの電子がエネルギー準位の低いアクセプタバンドに落ちることによってアクセプタバンドのホールと結合します.すると図3-2-2(空乏層)に示すように多くのキャリアがアクセプタバンドに収納されます.
P型半導体,N型半導体,空乏層のフェルミ準位を図3-2-2 に示しています.空乏層が伝導帯と価電子帯の中心に位置するのに対しP型は価電子帯よりに低く,またN型は伝導帯よりに高く位置します.
ところでフェルミ準位は物質中の電子濃度が50%で存在するエネルギー準位ですので,半導体の場合には自由電子およびホール両方を含むキャリアのエネルギー準位の平均を示しています.物質中の全キャリアのエネルギー準位の平均は,一般にその物質の置かれる電気的な位置エネルギー(電位)に相当するものとして考えることができます.
図3-2-3 はP型半導体,N型半導体および空乏層のエネルギー構造をフェルミ準位を基準に(電位をそろえて)示しています.図のようにPN間にエネルギー差がつくられます.これを障壁といいます.
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